日本の伝統を、未来へつなぐ

「技術は然り、必要なものは心」

道具の使い方も、木の読み方も、施主との向き合い方も——すべては「心」に通じる。師である宮大工棟梁から学んだことです。
職人の仕事は、形に残る。その形が、依頼してくださった方の暮らしに寄り添い、長く息づいていくために、技術と同じだけの心を注ぐ。
技術は、心を伝えるための手段。私たちはその信念を、一棟一棟の仕事に込めています。

匠が厳選する、本物の木

木には、それぞれ得意分野があります。
杉、欅(ケヤキ)、檜(ヒノキ)——樹種によって特性が異なることは、多くの方がご存じかもしれません。しかしそれは入り口にすぎません。同じ種類の木でも、どこの山で育ったか、どの向きで生えていたか、どんな土壌に根を張っていたかによって、木の性格はまったく異なります。元気で積極的な桧もいれば、堅実で粘り強い桧もいる。人間と同じように、木にも個性があるのです。その個性を読み取り、一本一本に合った場所と役割を与えることが、木を使う職人の仕事です。

木と対話する「墨付け」と「手刻み」

「墨付け」とは、木材に骨組みの基準線を引くこと。「手刻み」とは、その線に沿って木材を加工していくことです。
現代の多くの現場では、機械による工場加工(プレカット)が主流となっていますが、たまい工務店では今もこの手仕事を続けています。なぜなら、木は一本一本が異なる生き物だからです。機械は均一に刻むことが得意ですが、その木が持つ癖や性質を読み取り、どこでどう活かすかを判断することはできません。木と向き合い、対話しながら刻んでいく——その工程にこそ、長く住み継がれる家をつくるための知恵が宿っています。

道具と仲間が、家の完成度を決める

良い木を選び、木の性質を読んで墨付けをする。しかし、どれほど木を深く読んでも、それを刻み、組み上げる道具と腕がなければ家にはなりません。材料のよさは、加工の質によってはじめて家の強さに変わります。その木を実際に形にしていくには、長年使い込んだ確かな道具と、ともに現場に立つ仲間の技術が欠かせません。
道具の切れ味が、木の力を引き出す。仲間の技量が、その力を住まいとして形にする。家の完成度は、職人の目利きだけでなく、道具と仲間の力があってこそ支えられるものです。